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紋章憑き~第三章【下衆な隼人】~

  第三章【下衆な隼人】

 空にはペガサスに跨る衛兵。城門には黒い甲冑に身を包んだ衛兵。城門壁の上には赤いローブを身に纏った、如何にも魔術師な風貌をした者達が等間隔に並び警戒する。その者達の背には『火の紋章』。つまりは、『火の紋章憑き』直属の『サード』クラスのマジシャンであることを示す。
 上空から広範囲に注意を張り巡らせるペガサスナイトは、城の上空を極めて遅い速度で旋回する。当然、下を警固する衛兵との状況確認も怠らない。
「上空、問題ありませーん。下はどうですかー?」
 桃色の髪を短く切り揃えたペガサスナイトは、声を張り上げ伝えると同時に、下での状況を確認する。
 以前、失態をしでかした、巨の紋章憑き直属の衛兵が大きな声で答える。
「こっちも問題ない! 引き続き周辺の警戒頼む!」
「了解しましたー」
 この時、この衛兵は、上空のペガサスナイトのよりも遙か上空に小さな豆粒程の黒い物体があることに気付くが、只の鳥だろうと認識し、自分の仕事に戻った――

 その遙か上空。乱丸がゆっくりと旋回する。
 乱丸の背から、顔をひょっこり覗かせた隼人が、目を凝らせ下の様子を見る。
「どうすんの? 城の周り、人がいっぱいいるんだろ?」
「一時的なものだと思ったけど、一向に減る気配ないわね……なんでこんなにいるのかしら」
 隼人の視界を介して下の様子を見るラルファは頭を捻る。
「このまま乱丸で降りていってもいいのか?」
「……それはまずいかも。私達がいくら敵じゃないにしても、この乱丸の迫力はダメだわ。こっちが説明する前に集中砲火浴びちゃうと思う」
「じゃあ、どうすんの?」
「簡単じゃない」
「これは無理」
「まだ何も言ってないじゃない」
「こんなの一択しかねーだろ!」
「勝手に決めつけないでもらいたいわね。え? なに? 隼人は私がなんて言うか分かったの? すごいわね! キミ、いつから人の心を読めるようになったのかしら! いえ、違ったわ、『神』の心を読めるなんて! ……まあいいわ、それじゃ、私がなんて言うつもりだったのか、答えてご覧なさいよ」
「落ちろ」
「正解」
「どうやらオレは『神』の心を読めてたみたいだな」
「……そのようね」
「……だから無理だって。さすがにこの高さは……やばいぞ?」
「大丈夫だって! これまでも大丈夫だったでしょ?」
「いやいや、今まで経験した中でも群を抜いて高いからコレ。お前って、いっつも簡単に言うよな?」
「だって簡単でしょ? 着地着地。着地の瞬間に気をつければ大丈夫だって」
「簡単じゃねーよ。ったく……つい最近まで普通の人間だったんだぞ、オレ」
 隼人は不満を口にしながらも、首を捻り、コキッ、コキッ、と骨を鳴らし、屈伸をする。
「人間だったからこそ、色々と経験を積んでいかないと」
「はいはい。はぁ、そんじゃ行くとしますか。乱丸、また後でな」
 乱丸は可愛い鳴き声で返事を返す。隼人は一回大きく深呼吸をすると。
「いってくらぁ!」
 先程までの弱気が嘘のように、勢いよく豪快に飛び降りた。

「ふあぁぁ……」
 暖かい日差しが降り注ぐ中での外部警固は心地良いものなのだが、それが長時間続けば眠気が襲って来るという難点もある。城門前を警固する衛兵が、今日、何度目かの欠伸をした。
 大きく伸びをしたとき。たまたま空に目をやったとき。偶然視界が『何か』を捉えた。
「……なんだ? あれ」
 衛兵は目を凝らす。ゴミ? いや、さっき見た鳥か? 何の鳥だ? そう考える間にも『何か』はジワジワと大きさを増していく。
「おい? どうした?」
 空をジッと見る衛兵に気付いた、隣ののっぽの衛兵が声を掛ける。
「……あれ、なんだと思う?」
 上を見る衛兵が空を指差す。
「あ? 何がよ」
 のっぽの衛兵は指された空に目を移す。そこには空から城を警固するペガサスナイト。
「ペガサスだろ」
「違う……その上、鳥じゃ……ねーなぁ」
「上だぁ?」
 のっぽの衛兵は先程よりも目を凝らし、よく注視する。その時には、判別難しかった小さかった『何か』は、ある程度判別できる大きさにまでなっていた。
「……ん? ……ひ、と……かぁ?」
「……だ、だよな? 人に見えるよなぁ……」
 二人は視界を戻すと、慌てて向かい合う。
「人!?」
「人!?」
 突然の大きな声に、周りが「何事か!?」と俄に騒々しくなる。
「どうした!? 何かあったのか!?」
 城門壁の上から身を乗り出したレッドマジシャンが強い口調で言い放つ。
「う、上だぁ! 上! 上に気をつけろー! 上から何者かがコッチに向かって落ちてきてるぞ! ペガサス隊気をつけろぉ!」
「う、上ですかー? 何も見あたりませんよー? ど、どこですかー?」
 訳の分からぬ状況にペガサス隊は狼狽する。
「馬鹿! お前らの頭上だっ! 避けろ――!」
「え?」
 一斉に見上げるペガサス隊。だが遅かった。

 落下する隼人。速度はぐんぐんと加速する。見る見るうちに地面との距離が縮まる。
 スリル度マックスの、自然の絶叫アトラクションを絶賛堪能中であった。
 地上に見える、蟻のように小さかった人の姿は、やがてお豆サイズへ。
「ひゃぁぁぁぁ……ぁあっ?」
 隼人は何かに気付く。
「どうしたの?」
「……このまま落ちると、下に見える奴らにぶつかりそうじゃね?」
 隼人の言う先には、ペガサス隊の姿が。そして、隼人が通過するであろう落下ポイントには、桃色の髪をした女性が跨るペガサスの姿があった。
 この時、お豆サイズであった人の姿は、精巧なミニチュアサイズへ。
「……当たりそうよね」
「うわっ! 当たりそうじゃなくて当たるっつーのコレ! や、やべっ! ち、ちょっと下下下下! 避けろぉぉぉ!」
「え?」
 上を見る桃色の髪をした女性。
 この時、女性と隼人の距離、十メートルを切った辺り。間に合わない。
「きゃあっ!」女性は叫び声を上げ、咄嗟に頭を防御する。
「……んなろぉぉ!」
 女性にではなく、ペガサスの翼に直撃する。と思われた瞬間、隼人は体を回転させると、ギリギリのところで直撃を回避する。安心するのも束の間。難を逃れた矢先、息を吐かせぬ展開が隼人を襲う。
「きゃああぁぁっ!」女性の体が宙に舞う。
 驚いたペガサスが激しく暴れ、上に乗る女性を振り落としてしまった。
「マジかよっ!」
「隼人! 下!」
「分かってる!」
 迫る地面。隼人は足に力を込める。常人には感じることの出来ない感覚が足全体を覆い尽くすと同時に、大きな落下音が鳴り響く。相当な衝撃に、痛みを覚える隼人は片膝を付く。
「くっ!」
 しかし、悠長にかまえる余裕など無い。隼人は急いで立ち上がり、駆けた。

 振り落とされた女性は覚悟を決め、目を閉じる。
 あぁ、私死んじゃうんだ。呆気なかったな。恋もしてないのに……やだなぁ。何のためにペガサス隊に入ったんだろ。いい人見つける前に死んじゃうなんて……。お父さん、お母さん、先立つ不幸をお許しください。さようなら……
 さようなら……
 さようなら……
 さようなら……?
 あれ? 痛みを感じない? どうして? ……そうか、きっと私、即死だったんだ。痛みを感じることなく死なせてくれたんですね、神様は。……あぁ感謝します。
 でも。何か、人の温もりを感じるのは、どうして?
 私の体に、何か触れてる感触がするのは、どうして?
 耳に入ってくる、うるさい音は何? すごく耳障り。これは余計です、神様。
 人って、死んでもなお第六感は失われず機能するものなの? 不思議。
 ……それよりも、ものすごく気になることがある。
 ……なぜか、私、胸が……ドキドキしてる。どうして?
 ……あれ? もしかして、これって、私……死んで……いない? どうして?
 ……考えても仕方がない、か?
 ……女性は心の中で小さく頷くと、意を決して恐る恐ると目を開いた。

 目を開いた瞬間、女性は硬直した。思考が停止する。
 女性は隼人の腕に抱かれていた。隼人の胸に顔を埋めてる状態であった。
 な、何で……お、男の、男の人の胸がこんな間近に……! ほ、頬に触れてるー……!
 顔を真っ赤に茹で上がらせた女性は頭に血が上って、鼻血が出てしまうのではと思ってしまう。大袈裟に聞こえるだろうが、それは仕方のないことであった。
 なぜなら、ペガサス隊に所属する女性達は皆、純潔無垢な女性なのだから。
 幼い頃からペガサス隊に入ることを夢見てきた女性達は、必要以上に男性と関わることを許されなかった。それは徹底され、そのせいで、男性に対しての苦手意識が植え付けられてしまう女性がいるほどであった。
 隼人は「……大丈夫か?」と心配そうに声を掛ける。
「……あ、はい……大丈夫です……」
 隼人の問い掛けに小さく答えた女性は、隼人の胸からゆっくりと顔を上げる。
「良かったぁ……ごめんな?」
 申し訳ない気持ちで一杯の隼人は苦笑いを浮かべた。丁度その時、顔を上げた女性とタイミングが重なり目が合った。
「っ! いえ! 本当に……あの、大丈夫……です……」
 顔を赤らめた女性は、顔を俯かせる。と言うか、視線を避けた。恥ずかしくて。
 こんな時に、不謹慎だとは思うのだが、女性は隼人のことを〝格好いい……〟と思ってしまった。
 隼人が実際に格好いいのか、そうでないかは分からない。それはそれぞれ他人の目が判断することであって。一概には決められない。男性の行動や仕草、雰囲気に格好良さを見出す女性もいるのだから。
 只、この女性に限って言えば。隼人のことを〝格好いい〟と思えたのであろう。
 この二人だけを見れば、なんともまぁ微笑ましいものだと思えるのだが、周りはそうは思ってはくれない。武器を携えた兵士達が、いつの間にか隼人の周りを包囲していた。
 喧々囂々たる敵対心むき出しの声が、隼人に浴びせ掛かる。
 勇ましくも罵倒とも取れる声を背に、ズシリと重厚な大剣を肩に担いだ一人の男が、悠然と前に出る。
 あの、失態をしでかした『巨の紋章憑き』直属の衛兵である。
「おい貴様、ちょっといいか?」
「え? あー……オレ、ですよね? なんでしょうか?」
「貴様が敵陣へ、たった一人で乗り込んできたその度胸、それは認めてやる」
「いや、あの、乗り込むとかそんな大それたことじゃ――」
「しかしだ! か弱き女性を人質に取るという愚劣な行為! 断じて許されん!」
 盛大に賛同の声が上がり、一気に衛兵達の士気が上がる。
「……あの、なんかキミ……人質になってるみたい」
「……その、ごめんなさい……」
「謝るのはコッチだから。えっと、それじゃ、自分の足で立てる?」
「あ! ごめんなさい! 重たかったですよね……」
「いやいや! そんなつもりで言ったんじゃないから。全然軽いから」
「本当……ですか?」
「本当。たださ? キミが向こうに戻らないと、すっごく面倒なことになりそうだろ?」
「あ、そうですね! 私バカですね」あは、と可愛く笑う。
 な、なんなんだ、この熱々ぶりの空気は。見せ付けられる兵士達は、皆一様に苦虫を噛み潰したような顔を見せる。
 二十センチ浮いたところから女性は優しく地面に下ろされる。たったそれだけの高さなら、さっさと下ろせよ、と言われても何らおかしなことではない。なら、なぜ隼人はそうしなかった? それは隼人が男だからだよ。女性の体に密着なんて、そうそう出来るものじゃない。こんな美味しい役得を誰が逃すものか、隼人は理に素直に従い、思う存分堪能しただけであった。
 所詮、隼人もスケベなのだ。今、女性の目には紳士な隼人が映るが、残念なことに隼人はスケベだ。何度でも言おう、隼人はスケベだ。念を押す。隼人はスケベだ。
「ねえ? さっきからイチャイチャし過ぎじゃないの? 惚れたの?」
 どこか不機嫌そうな声をしたラルファが茶々を入れる。当然、隼人にしかラルファの声は聞こえない。
「うっせ! そんなんじゃねーよ! 黙ってろバカ!」素が出る隼人。
「ひゃあっ!? ご、ごめんなさい! 黙ってます! わ、私バカです!」
 隼人の大きな声に、自分が怒られたと勘違いした女性は、身を縮こまらせた。
「あっ! ち、違うから! 今のキミに言ったんじゃないから!」
 隼人は慌ててフォローする。
「え? でも……私しか――」
「違う違う! 今のは、ほらアレだ。周りのヤジが少しうるさいから、ちょっと静かにしろって、周りに言ったのよ」
 隼人の脳に、ラルファの勝ち誇ったかのような笑い声が響き渡っていた。
「……本当?」
「本当本当! そんなことよりも、ほら。キミは早いとこ向こうに戻らないと! さささっ」
 女性の肩を掴み、クルリと反転させる。
「あ、あの! 私、ミリーナ。ミリーナ・カタストレクファーって言います! 覚えていてくれますか?」
「ミリーナ。良い名前だな。ちゃんと覚えておくから安心して。オレは赤時隼人って言うから、コッチもちゃんと覚えててね」
 ポンと軽くミリーナの背中を押し送り出す。ミリーナは振り向くと「アカトキさん、また」と照れくさそうに笑い、遠慮気味に小さく手を振り戻っていった。
 途中ミリーナは、隼人の前に仁王立つ巨の衛兵の前で一度立ち止まり、「スミノフさん、ありがとうございました」と律儀に頭を下げた。
 隼人は紳士な笑顔でミリーナの後ろ姿を見送る。「良い子だなぁ」と、ミリーナの後ろ姿を眺めてる内に思わずポロリと本音が出た。
「……スカートみじけぇな」
「見事騙しきったわね。キミにこんな、素晴らしい才能があるなんてね」
 ラルファは“素晴らしい”の部分だけ強調し、皮肉めいて言う。
「は? 何言ってんの? 騙してねーよ。普段からオレは女の子には優しいっつーの」
「は? 私には一切優しくありませんが!?」
「十分優しいだろが」
「どこがよ!?」
「お前の我が儘に付き合って、こんな世界まで来てんだぞオレ。優しすぎんだろよ」
「そ、それはそうだけど! それとは別の、ほら、優しさってものがある――」
「はいはい、その話はまた後でな。先客がそろそろ痺れ切らしそうだわ」
「もう! こっちの話まだ終わってないのに!」
 ラルファの言葉を途中で遮った隼人は、本腰入れてスミノフに向かい合う。
「人質返したからと言って、はいそうですかって言う流れにはなりそうにはないっすかね?」
「残念ながら希望には添えられんな。構えろ」
 スミノフは大剣を振り下ろし、切っ先を隼人に向ける。
「構えろって……そもそも人質とかそんなのじゃないんで。って言うか、あんたハッキリと見てたでしょ?」
「何をだ?」
「ミリーナが地面に落ちる寸前にオレが受け止めたところ」
「……ものは言いようだ」
 スミノフの一瞬の間が隼人の癇に障ったのか、隼人は下手に出るのを止めた。
「はっ、要はただの妬みだろ? イヤだねー、モテない男の僻みってやつは」
 スミノフは剣を一回転させ、力一杯地面に突き立てる。
「……何だと? もういっぺん言ってみろ」
「言わねぇよバカ。ほら、構えてやるよ? やりたいんだろ?」
 構えると言うにはほど遠いノーガードポジションで、隼人はスミノフを挑発する。周りはどよめく。隼人はだめ押す。
「女の子に良いとこ見せる絶好の機会じゃないの?」
「バカが! 死んであの世で悔いれ!」
 言うや否や、スミノフは地面から大剣を引き抜き、僅かな気の迷いもない、明確な殺意を持った一撃を振り下ろす。悲鳴と歓声、入り交じった声が飛び交う。
 が、しかし。その一撃は隼人の素手の手によって難なく受け止められる。
 手に伝わる、金属と金属とがぶつかり合う感触にスミノフは驚く。
「き、貴様……一体っ!?」
 スミノフは慌てて刃を引こうとするも、隼人に刃を捕まれビクリとも動かない。
「悪いけどオレ、強いぞ?」刃を掴む手に力を込める。
 鋭い音を残し、指が刃を容易く貫く。
「腹。力入れておけよ? いてーぞ?」
「……うおぉっ!?」
 隼人は掴んだ大剣を引っ張り、スミノフを引き寄せる。
 次の瞬間、隼人の拳がスミノフの腹、ど真ん中にめり込む。
 スミノフの体はぶっ飛ばされ、後方の城門壁に激しくぶち当たった。
 口から大量の泡を吹き、白目になるスミノフ。場は凍り付き、静まりかえる。
 スミノフの手から離れた大剣が隼人の手に残る。隼人はそれを捨てると、一歩前に出て叫んだ。
「てめえらんとこの『三神』に、オレは会いに来た! 『竜の紋章憑き』が会いに来てると伝えてくれ!」
 紋章憑きと言う言葉が飛び出し、場が騒然とする。
「うそ……アカトキさん、紋章憑きなの?」
 ミリーナは遠く離れた場所から羨望の眼差しで隼人を見つめていた。
 気を失ったスミノフが、二人の衛兵に支えられ運ばれる。
「……ちょっとやりすぎたか」隼人は頭をポリ、と掻く。その時、一瞬視線を下げた。
「隼人っ!」
「いてぇぞ?」
 ラルファの声に、別の誰かの声が重なる。
 声が聞こえた方を振り向くよりも早く、ガントレットを装備した拳が隼人の頬に直撃する。目の前に火花が散ったかと思った瞬間に、隼人の意識が飛ぶ。
 デジャブか。先程のスミノフと全く同じに、今度は隼人の体が吹っ飛ばされる。地面に二度、三度と背中からもろにバウンドしてやっと止まった。
 訳の分からぬ突然の出来事に、又も場は一瞬静まりかえるが、『男』の姿を目にするや否や、ボルテージが一気に膨れあがる。
『三神』が一人、『巨の紋章憑き』ガイナの登場である。

「……おい、こいつ誰だ?」
 黒いコートのようなモノを羽織ったガイナは、無様に失神する隼人を一瞥するだけで、まるで無関心に、ガントレットをアジャスターでタイトになるよう調整しながら、一番近くに立っている衛兵に尋ねる。
「それが、私達にもよく……ただこの者、自分のことを紋章憑きだと……」
「へえ……ま、紋章憑きって言っても、ピンからキリまであるわけだからねぇ。そしてコイツはキリと言うわけだ……」
 ガントレット調整が終わったガイナは、手を開いては閉じてを繰り返しフィット感を確認する。
「いや、そのような例えで表すならば、この男間違いなくピンの部類に入るであろう」
『巨の紋章憑き』であるガイナの頭に、『巨神』グールバロンの声が響く。
「おまえ、こいつに憑いてる『神』のこと知ってんのか?」
「ガイナよ、今すぐ『カタストロフィー』を手配しろ」
「は? 何の冗談だ? 全然笑えねぇぞ?」
「こやつの憑き神は『竜』だ。直に笑いたくても笑えぬ状況になるぞ?」
「竜? ファンタジーの生き物じゃねーか」
「……今はな。今でこそ我々は『三神』と呼ばれているが、かつて我々は、今は亡き竜類を統べる『竜神』を含めた『四神』と呼ばれていた時代が存在した」
「そんなの俺、初めて耳にしたぞ」
「世界に忘れ去られた神だ。存在せぬ神の話をしたところで何になる?」
「……確かにそうだな、で? つえぇのか?」
「かつて『竜神』は、我々神々の中で最も強い者と謳われていた」
「かつてだろ? 今は?」
「我々神も進化を続けているからな。それでも、『カタストロフィー』を手にして、こちらが七割と言ったところか」
 ガイナは、それを聞くと少し考える。『カタストロフィー』を持って七割ってことは、今のままでは二割にも満たないってことじゃねーか、と。
 ガイナは、伸びてる隼人に目を移す。どうしてこんなヤツがと、どこか腑に落ちない様子で渋々と、側に立つ衛兵に『カタストロフィー』を持ってくるよう指示を出した。
 衛兵は目を大きく開き、声を出して驚く。ガイナは、「だろ? お前も、何で? と思うだろ?」と言うと、衛兵は激しく縦に首を振った。ガイナは又少し考えるが、「ま、いいや」と、衛兵に、さっさと行けと城を指差した。
 衛兵は急いで城に戻る。
 衛兵が『カタストロフィー』を取りに城に入る途中に、他の衛兵が、どうしたんだ? と興味津々で聞く。内容を知った衛兵は、先と同じように声を出して驚いた。そこから又聞きは繰り返され、ガイナが『カタストロフィー』を使用すると言うことが、あっと言う間に城全体に知れ渡った。
「ア、アカトキさん、死んじゃう……」
 それを知ったミリーナは今にも泣き出しそうな顔で、縁起でもないことを口にした。
「さっきから黙って聞いてれば……私も随分と舐められたものね。いえ、それだけあなたが偉くなったのかしら? ねえ? グールバロン?」
 ラルファの声が突然、ガイナの思考に割り込んできた。
「誰だ? てめえ」眉間に深い皺を寄せるガイナ。
「久しぶりだな。ラルファエンクルス」
「ええ、久しぶりね。そして初めまして『巨の紋章憑き』の人。私が『竜神』ラルファエンクルスよ、以後お見知りおきを」
「お見知りおきも何も、姿見えねぇじゃねぇか。バカか? 『竜神』とやらは」
「……キミ、隼人とキャラが重なるわね」
「あ? ハヤト? 誰だそいつ。もしかして、そこで伸びてるヤツのことか? 冗談、俺をそんな情けないヤツと一緒にしてくれるなよ」
 ガイナは鼻で笑う。ラルファは少しカチンときた。
「言ってやるな、ガイナよ。ところでラルファエンクルスよ、何用があってここに足を運ぶ必要があったのだ?」
「……別に。軽く挨拶をと思って寄っただけよ」
 ラルファはぶっきらぼうに言葉を返す。
 それは嘘だ。本当は、幼馴染みのみんなに会いに来た筈だった。しかし、来てみればどうだ。ラルファは勿論のこと隼人に対しての、この無礼な仕打ちにラルファは沸々と怒りが込み上げていた。
「そうか、それを聞いて安心した」
「どういう意味?」
「いや何。よもや『四神』に戻りたくてノコノコとやって来たのではないかと思ってな。もし、そうであったとすれば、それこそ我々を舐めるなと、お前に言ってやりたいところだ。『三神』と謳われ、ワグナスを守護する者となって、何千と年を重ねてきた自負が我々にもあるのでな」
「言うじゃない。まあ、経験を重ねて自信を持つようになったのは、何らおかしいことじゃないわね。でもね? その自信は――」
「オレを倒してからにしてもらわねーとな」
 ラルファが喋るセリフの続きを、隼人が横取りする。
 視線が一斉に隼人へと集中する。
 意識が戻った隼人は、殴られた箇所である頬をさすりながらゆっくりと起き上がる。やはりダメージが残るのか、足下がどこか覚束ない。そして口の中を激しく切ってしまったのか、口を開く度に血が顎を伝い、地面に垂れ落ちる。
 隼人は手で血を拭う。
「……ってぇ。てめえなぁ、不意打ちは卑怯だろ?」
 隼人はガイナを睨み付ける。しかしガイナは余裕の笑みで、「で?」の一言で片付け軽くいなした。
「隼人、大丈夫なの? すごい血よ?」
「大丈夫なわけねーだろ、頬の内側パックリ切れてんだぞ。」
「それだけ喋れたら大丈夫ね。」
「……お前、オレを何だと思ってる? 少しは労れよ」
「――何なら、今すぐ逃げてもいいんだぜ? 弱者を苛める趣味は、俺にはねぇからな」
 ガイナは羽織った黒いコートを取ると、長さを合わせて腰に巻く。流石『巨の紋章憑き』。コートの下からは、無駄な肉が一切削がれた鍛え抜かれた肉体が姿を現す。両腕上腕に装着される王国紋章が刻まれた幅の広い白銀のバングルだけが、唯一ガイナの身を守る防具だ。その肉体、中でも目を見張るのが左胸に刻まれた『巨の紋章』、一つ目オーガのエンブレムであった。ガイナは両拳をぶつけ合わせた。紋章が怪しく光り揺らめく。こちらはやる気満々である。
「は? 誰が逃げるって? 誰が弱者だって?」
 隼人は地に唾を吐く。出てきたのは唾ではなく、殆ど血の塊だ。
「てめえに決まってんだろ?」はん、とガイナは鼻で笑う。
「は? なんでオレより弱いヤツから逃げなきゃならんのよ」
「あ? 誰が弱いって?」
 互いの距離が徐々に狭まっていく。
「てめえに決まってんだろ?」はん、と隼人は鼻で笑う。
 そして二人は立ち止まる。互いの鼻と鼻とが触れようとする程の至近距離。
 隼人、ガイナ。互いに表情からは笑みは消え、視線を一ミリと逸らすことなく睨み合う。
 観衆と化した衛兵達は固唾を飲む。ガイナに加勢をしたいと思う衛兵達は山ほどいるのだが、紋章憑き同士の戦いでは足手纏い以外の何者でもない。
 二人ポツリと言葉を発する。
「ガッカリさせんじゃねーぞ?」ガイナの一つ目オーガの目が光り渦巻く。
「安心しろ。期待に応えてやるよ」隼人の竜王のタトゥーが服越しに光輝く。
「私の隼人を舐めないでもらいたいわね」隼人の勝ちを信じて疑わないラルファ。
「我が『巨の紋章憑き』に勝てると? 片腹痛い……」『三神』の意地と誇りに賭けても絶対に負けられないグールバロン。
 その思い、二人の紋章憑きに託して、後は信じて見守るしかない。

 言うが早いか、ガイナの膝が隼人の鳩尾にめり込む。
 ただ簡単に、『めり込む』と一言で片付けるが、その威力常人の域を軽く超える破壊力。下手をすれば内蔵は破裂するだろう。
「かはっ!」
 堪らず呻き声を上げ、体をくの字に曲げた隼人の顔に、ガイナの左拳が容赦なしに勢いよく下から突き上げる。跳ね上がる隼人の顔に、ガイナが「死ね」と右の裏拳を炸裂させる。もろに頬に食らった隼人は吹っ飛ぶ。
 次元が違う。一瞬の出来事に観衆達は言葉を失う。
 ファーストコンタクトをあっさりと奪われた隼人は、ゆらりと体を起こす。
 鼻血が溢れ、顔面破壊状態の隼人。
 綺麗だった銀髪は血で赤く染まり、割れた額から血が頬を伝い流れる。常識的に考えれば相当にやばい出血量なのかもしれない。
「……お前、顔ばっかり狙いすぎ……」目の前が一瞬霞んだ。自分の過去の経験を探り手繰りよせ、自らの危機的状況を把握する。隼人は――軽く舐めていたことを後悔した。
「で? これも卑怯とか抜かすなよ?」
 そう言ってガイナが手にしたのは、金色に輝く巨大なハンマー。
 たった今、四人の衛兵達によって急いで台車で運ばれたそれは、しかとガイナの手に握られた。呼応するかのように『巨の紋章』が一層光り輝く。明らかにガイナの体重を超えるそれを、ガイナはいとも容易く担ぎ上げ、ニヤリと笑う。柄を握る手に力が入り、無数の血管が腕を這う。「『アーキファクト』」呟くガイナの腕に、古の文字が浮かび上がる。
「ラ・デナウ・カタストロフィー!」
『ラ・デナウ』ガイナは、解き放て、解放、を意味する言葉を述べ、『カタストロフィー』を天高く振りかざした。
『カタストロフィー』の頭部が、ぽう、と淡く光る。
 それだけで、他に変化らしい変化は見受けられなかった。それだけ? と隼人は拍子抜けした。しかし、そんな隼人とは全くと言っていいほど違う反応を見せる観衆達。
 出来るだけ安全なところへと、全ての観衆が城門壁の上へと慌てて移動した。
「それがお前の武器か?」
「神具『カタストロフィー』。世界で唯一、『巨の紋章憑き』である俺様だけが扱える代物だ」
「神具? 只のでっかいハンマーじゃねーのか?」
 戦況を黙って見守るミリーナは心の中で叫ぶ。違う! と。
「悪いな。これでそちらの勝ちは殆ど無くなってしまったな」
「だから、舐めすぎだって。隼人!」
 余裕を見せるグールバロンに、ラルファはまた苛つく。このような展開を誰が望んでいたか? 私は『竜神』。最強なのよ? なのに、このような見下される扱いをされるなんて夢にも思わなかった。わなわなと声が震える。ラルファはかなり怒り心頭のようだ。
「いきなり叫ぶんじゃねーよ。直に頭に響くんだからよ……」
 隼人は顔をしかめ、頭を掻いた。
「お前、戦い慣れしてねぇな」またも一瞬の隙をついたガイナ。
 ガイナは地を蹴る。『カタストロフィー』の重さを微塵も感じさせぬ、重量物を手にする前に劣らぬスピードで、一気に隼人との距離を詰めたガイナはすかさず攻撃動作に入った。
「死ね――」
 砂埃を巻き上げる程の、渾身の力を込めたフルスイング。『カタストロフィー』の打突部に巨大な円形魔法陣が発生する。
「誰が――っ!」隼人は腕をクロスさせる。
 ガイナの放った重く強烈な一撃が、隼人のクロスブロックにドゴンッ! と轟音を響かせめり込む。防げた。しかしそれも一瞬、ガイナのあまりにも重すぎる一撃はブロックもろとも隼人の体をぶっ飛ばした。冗談だろ? と、地に水平にぶっ飛んだ隼人は、分厚い城門壁に激突するも、その勢い殆ど衰えることなく貫通し、ジュナルベイル城の壁に激突した。ガラガラと音を立て崩れ落ちる壁。観衆達は唾をゴクリと飲み込む。言葉が出ない。
 そこに、城門壁の上にいる一人の衛兵があることに気付き「お、おい」と口を開く。それに連れて、また一人、二人と、気付いた衛兵が口を開いた。
「あそこって……今」
「うん、ナスターシャ様が使ってる時間だな」
 衛兵達の会話が下にいるガイナの耳に入ってくる。それを聞いたガイナは、やべぇ、と冷や汗を流した。
「マジかよ……!」
 ガイナは急いで我が目で確認をと、城門壁の上へと飛び移る。
 崩れ落ちボッコリと穴が開いた城壁部分を見たガイナは顔を左手で覆った。
「……もしかしてやばい?」
 隣にいる衛兵に聞くも、答えるのに困った衛兵も苦笑いで「……どうでしょう」と返すことしか出来なかった。
 ガイナの頭に嫌な予感が過ぎる。一向に隼人が姿を見せないことが、余計に不安を煽る。そしてこんな時に覚える不安は、なぜか的中し易い。
 腕を組み、落ち着き無く足で地面をコツコツコツコツと叩くガイナ。意外や堪えて待つこと十数分。しかしそれも限界の域に近づいていた。
「うぇ……ぇえ……ぅぶえっくしょん!」
 ガイナは豪快なクシャミをかます。
「風邪、ですか?」
「……いや。誰かオレのことを噂してやがるな」
「モテますからね、ガイナ将軍は」
「そう言った意味で言ったんじゃねーよ」
「……す、すみません!」
 しかしその後にもクシャミが三連続に出、合計四回のクシャミが出たところで、奇妙な寒気がガイナを襲ったのであった。が、さして気に留める様子のないガイナは「風邪か?」で、無難に片付けた。
 ……しかし、ガイナは知らなかった。今この時、ガイナの知らぬ所で恐ろしい陰謀が蠢こうとしていることを……。
 それからほんの数分後――。
「こ、の……下衆が――っ!」
 穴の奥から聞こえたナスターシャの怒鳴りつけるような馬鹿でかい声に、ガイナは「ちっ……やっぱりかよ」と声を漏らす。案の定的中していた。
「やばそうですね」衛兵のその一言に。
「うっせ」と衛兵の頭を軽く叩いたガイナは、観衆と化していた衛兵達に持ち場に戻るように促し、城門壁から飛び降る。崩れ落ちた瓦礫の山を足で蹴って退かすと、「ナスターシャ。入るぞ」と一言断りを入れ、トボトボと穴の開いた所から城内に入っていった。

「折角の勝てる好機を……憑いてないな」
「こんな時もあらーな」
 城内に入った瞬間に白い湯気が体にまとわりつき、甘い香りが鼻につく。
「どうもこの匂いは好きになれんな」
「俺もだ」
 ガイナが入った先は湯殿であった。
 ガイナの進入に気付いた女性の衛兵達が一斉にガイナの前に並び立ちはだかった。
 ガイナは目のやり場に困る。女性達はナスターシャの侍女として湯殿にいるため、薄手の白いローブを纏っているのだが、水を含んだローブは透けて隠す役目を果たしていない。中身が丸見えになっていた。
「あ、あの、申し訳ありませんが……ただいまナスターシャ様のお時間ですので……、それに……その、如何にガイナ様と言えど……男性の方は……」
 自分の体を異性に晒していることに羞恥心を覚える以上に、女性達も目のやり場に困っていた。ガイナの鍛え抜かれた肉体美を前にして、皆顔を赤く色付かせ緊張する。
「そんな長居はしねぇよ。用があるのは――」
 ここでガイナは気付いた。
「きゃっ」
 女性の肩を掴み強引にどかす。
「……おい、ここに突っ込んできた男はどこだ」隼人の姿が見えないことに。
 そしてナスターシャの姿も見えないことに。
「そのお方でしたら、あの、その、大変なお怪我をなされておりましたので、奥の部屋で治療を」
 ガイナは耳を疑った。
「は? 何ふざけたこと言ってる。敵だぞ? その男」
 容赦ない鋭い眼光に女性達は身を震わせる。
「いえ、あの……それは分かっております、けど……あの……」
 ガイナの気迫に押された女性は泣きそうになる。ガイナの言ってることはもっともなことで理解は出来る。だけど、言うべき筈である肯定の言葉が上手く整理出来てない女性は狼狽するしかなかった。
 ハッキリしないウジっとした態度に苛立ったガイナは表情を険しく、肩に担いだ『カタストロフィー』を乱暴気味に床に下ろす。モザイク調の床が音を立てて大きく凹む。女性達は直立不動で、ただただ黙って怯えることしか出来なかった。
「ナスターシャ!」
 湯殿にナスターシャを呼ぶ声が響き渡る。
 十は数えただろうか、奥の扉が開くと着替えを済ませたナスターシャの姿が現れた。いつもなら結い上げてる髪は、まだ濡れているせいかストレートに下ろされていた。
 ナスターシャの姿を見た女性達は安堵の息を漏らした。
「叫ぶな。器が知れるぞ」
 湯殿に立ち込める甘い香りとは違う、甘い香りがガイナの鼻先を擽る。香水の類が嫌いなガイナは、無意識の内に表情を歪ませた。
「さっさと男を出せ」
「なぜ、お前がここにいる? ここは男が入ってくるのを許される場所か? ん?」
「……き、緊急ってやつだ。い、いいからさっさと男を連れてこい!」
「ふむ、本来ならいかにお前とて、例外なくキツいお灸を据えなくてはならないんだがな。まあ、今回は大目に見てやろう。で、男とは先程の下衆な男のことか?」
「他に誰がいるんだ?」
「そうか、やはりその下衆か……そうか」
 細い顎の下に手をやり、考えるような仕草を見せる。たったそれだけの動作にも気品を感じさせる。
「そいつは俺達の敵だ。奥にいるんだろ、連れて行くぞ」
 ガイナはナスターシャの横を通り過ぎようとする。
「……すまない、今はそれを許すことは出来ない」
 背後からガイナの肩を掴み、それ以上の進行を許さない。
「……何言ってんだ、お前?」
 ナスターシャをギロリと睨む。到底仲間に向けるような目付きではない。まるで、ナスターシャを敵として見るような、威圧的な目付き。
 凍てつくような鋭い眼光には魔法が掛かっているのか。女性達は恐怖に体を震わせると、麻痺した感覚に襲われピクリとも動くことが出来なくなってしまった。
 しかしその眼光も、ガイナと対等格である紋章憑きのナスターシャに効くはずもなく。
「そんな怖い顔をするな、皆が怖がってるぞ」
「お前がそうさせるんだろうが」
「確かにな。しかし、それには理由があるのだ」
「理由? そんなのが、なんでお前にあるんだよ。お前には全く関係ねぇだろが」
「あ、ああ、いや、あるんだ。理由がついさっき出来てしまったのでな……」
 フイとガイナから視線を逸らしたナスターシャの頬が真っ赤になる。周りの女性達も、まるで我がことのように、恥ずかしそうな顔を見せる。なんだぁ? とガイナは怪訝な顔つきになった。
「……私は、その……く、唇を奪われてしまった……」
「……はぁ!?」
「……なんと」
 驚くガイナとグールバロン。
「お、お前、それって……」
『唇を奪われる』と言う、事の重大性が分かるガイナは、らしくなく気が動転した。
 リーンハルスが誇る、絶世の双璧美女の一翼と謳われるナスターシャは、細い喉をこくりと鳴らし、初々しく小さく頷いた。
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